中央集権型取引所にDeFi(分散型金融)を統合しようとするバイナンスの新しい試み「バイナンス・スマート・チェーン(Binance Smart Chain)」は、DeFiを打ち負かすためのものではないと、「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)CEOは述べた。暗号資産(仮想通貨)とDeFiの一般への普及を加速させることが最も重要な目的だ。

「現在、お金の99.9%はいまだに法定通貨」とジャオCEOは10月14日、米CoinDesk主催のオンラインカンファレンス「invest: ethereum economy」で述べた。

「そうした法定通貨を取り込むには、(法定通貨の)入口が必要だ」

競争は時期尚早

バイナンスは9月はじめ、パブリック・ブロックチェーンのバイナンスバージョンとしてバイナンス・スマート・チェーンを発表。最大級の中央集権型取引所によるDeFiへの積極参入は、イーサリアム・キラーになろうとするものだと主張する人もいる。

ジャオCEOは、暗号資産の普及は初期段階にあり、業界内部でのいかなる競争も意味がないと述べ、自社の立場を擁護した。

「0.1%の中での競争はまったく意味がない。俯瞰的に見れば、我々は他のプロジェクトを競合と見ていない」

現在、DeFiプロジェクトの大半は、イーサリアムブロックチェーン上に構築されている。DeFiの台頭に伴い、そのマーケットシェアの少なくとも一部を奪い取るために、イーサリアムに代わるものを開発しようと多くの人たちが狙っている。

バイナンス・スマート・チェーンは、イーサリアムと比べると分散化の度合いは低いものの、DeFiの成長を著しく遅らせているイーサリアムのスケーラビリティ(拡張可能性)の問題を緩和できるとジャオCEOは述べた。

「イーサリアム1.0は、ほぼ完全に渋滞していると思う。我々が何もしなくても、あるいは競争がなくても、イーサリアムブロックチェーンのトラフィックはこれ以上、大幅に増えることはない。(中略)だから我々はバイナンス・スマート・チェーンはイーサリアムブロックチェーンからその負荷の一部を引き受けていると考えている」

ジャオCEOは、自身とバイナンスはイーサリアム2.0について「非常に期待している」が、イーサリアム2.0によるスケーラビリティ問題への対応は「まわりくどい」と述べた。

分散化には多くの段階

ジャオCEOは、DeFiプロジェクトのイノベーションを称賛したが、特定のユーザーだけをターゲットにしたもので、まだ「ニッチなもの」であり、一方、バイナンスのような中央集権型取引所は特に初心者ユーザーには魅力的な存在と述べた。

「ユーザー数を見ると、最も人気のDeFiプロジェクトであるユニスワップ(Uniswap)は約1万人から多くても3万人、他のほとんどのDeFiプロジェクトは、1日に数百から1000人程度だ」

ジャオCEOは、バイナンス・スマート・チェーンは中央集権型取引所と分散型取引所(DEX)の特徴を活用することで、暗号資産分野により多くの人を惹きつけることを望んでいると述べた。ジャオCEOは以前、双方の特徴を備えたこのアイデアを「CeDeFi」と呼んだ。

バイナンス・スマート・チェーンの開発では、同社は分散化の要素を犠牲にしなければならなかった。その点は主要な批判のひとつになっている。それでもジャオCEOは、分散化は必ずしも「白黒はっきりしたもの」ではないと述べた。

バイナンス・スマート・チェーンは、バイナンス・コイン(BNB)保有者によって選ばれた21のノード・オペレーターによって管理されている。とはいえ、同社はBNBコインの大口保有者であり、依然として大きな影響力を持っている。

「分散化には多くの段階があると考えている」とジャオCEOは付け加えた。